宇宙の燈台パルサー

パルサー(pulsar)
というのは自動車ではなく、パルス(脈のように、一定時間間隔で 脈打つもの)を出すもの、ということです。

このパルサーが発見されたのは、偶然でした。宇宙からは電波がやってきます。 その電波を観測していた研究者(さる先生の学生)が、規則正しく脈動する 電波を発見したのです。

その精密さ
はあなたの時計の比ではありません。 原子時計も真っ青なほど正確なんですね。さては宇宙人が信号を地球に 送ってきたのかと、色目気立ったのですが、それはあり得ないことが すぐに分かりました。
どうしてだか分かりますか。
パルサーまでの距離 と、受信している電波のエネルギーを考えると、太陽以上のエネルギー が出てないといけないことになったからです。こんな膨大なエネルギーを 規則正しく電波で出すことは、いくら科学の進んだ(?)宇宙人でも 無理な話しです。
パルスの周期
には長いのから短いのまでいろいろあります。電波ですから ラジオのように聞くことができます。色々な分析から、このような規則的な 音は、半径10kmくらいの中性子星の回転に元があると結論づけられました。

宇宙の奏でる音をきいてみましょう。 (プリンストン大学の好意によるデータ)。
最初はかなり初期に発見された周期0.715秒、つまり、 1秒間に1.3986回、回転する遅いパルサーのものです。

(NEXTのSound.appの場合)サウンドパネルの下向きの矢印をクリックすれば 波形が見えますね。規則正しく脈打っているのがわかるでしょう。 まるで深夜に誰かが追いかけてくるような。 下に述べるSpectro3.appで見れば、このように規則的な波形が見えるはずです。

次はVelaパルサーといわれる周期0.089秒 (1秒間に11.98回転)の音です。 これも人間の耳ではっきり聞き分けられます。まるでボンゴの演奏です。宇宙も 味なことをやりますね。
宇宙最高速のパルサーは何と1秒間に 650回転もしているのですね。これはもう人間の耳には連続的な音 にしか聞こえません。 波形も細か過ぎます。 周期を分析するには特別な数学的手法が必要です。しかし、 これくらい高速回転する場合は、おおよその回転数は フーリエ変換という手法で分かります。この辺は工学部の学生は挑戦していみよう。
フーリエ変換
は音にどのような 周波数の成分が含まれているかを分析するものなので、1秒おきに カチカチいう音を分析しても、1秒の成分が出てくるわけではありません。 カチという音にどのような周波数の成分があるかを調べるのですから。 しかし、カチカチの周期が速くなると、音全体の成分としてその周期が 入っているように聞こえてくるのです。
分析するには、
音のファイルを自分の所にセーブして(サウンドパネルに出ているファイルの アイコンを各自の家にdrag 'n dropする)、Spectro3.appを起動、 音のファイルとして、それを指定してオープンする。そして、 適当にボタンを押せば、周波数スペクトルが 現れます。これは最初の方の音。おなじ分析は後の方の音にも適用できます。
それらを全て並べると、
きれいに最初のピークが揃って並ぶのがわかります。最初のピークの 位置は約660Hzつまり、660回転です。3倍音に当たるのも 見えています。同じような分析はEditSound.appでもできます。
パルサーはどんな風に電波を出しているのでしょうか。
これはスタンフォード大学のDr. Roger W. Romaniの作った パルサーのアニメーションです。線は強力な磁石の磁力線、緑の光は 燈台のように回る電波の方出を表しています。
ついでにFourie変換の勉強もしてしまおう。
ここにあるのはヴィオラの単調な音です。 これを取り入こんで、Spectro3.appでFourie変換して 周波数成分がどうなっているかをみてみよう。ほぼ256の整数倍の 成分がならんでいるのが分かるだろう。
自分の声
を録音してやってみるのもいいだろう。なるべく同じ調子で 「あー」、とか「うー」とか数秒間録音して調べるんですね。


おまけ。いろいろな天体写真に興味のある人は ここへ行くといいですよ。

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